うさぎと飛行機③

フィンランド・ヘルシンキ空港。雪がちらほら残っている北国の空港。
ここがEUへの入り口、入国審査があります。
フランクフルト行きの飛行機搭乗時間までかなり余裕があった、
はずなのに手荷物検査、どうしてこんなに時間がかかるの・・・

やっと順番がまわってきて、成田と同じくかばんはX線検査装置へ、
人間は金属探知機のゲートへ、 うさぎは・・・
「キャリーから出して抱いてゲートをくぐってください」

・・・・・。

いろんな国の人たちが行列している異様な雰囲気のなかでキャリーから出され
さすがに緊張して固くなる海。わたしのシャツに必死にしがみついてくる。
人々の注目をスコールのように浴びつつ、一緒にゲートをくぐる。
キャリーのほうはかばんと一緒に検査装置へ。
ところがこちらが渋滞していて荷物はなかなか出てきてくれず、
かなり長い時間海を抱き、地球の全人種(大げさ)からの
注視を浴びながら立っていました。

入国審査にはさらに時間がかかり、搭乗口まで急ぐはめに。
どこかでムーミンと一緒に海の写真を撮っておきたかったのに・・・
誘惑に満ちたムーミンショップのまえも急ぎ足で通過するしかなく(泣)

フランクフルト行きの飛行機もまた一番後ろの座席。隣は無人。
離着陸時以外は隣の席でまったり。
電車のなかではいつもあんなにナーバスなのに。
どうしちゃったの海なにがあったの。

そして緊張と心配のあまりやせ細った飼い主と海はドイツに降り立ち、
最後の難関、税関へ。
スーツケースを受け取ったあと、申告するべきものがある人用の
赤のランプの出口へ、そこで係の人に獣医師を呼んでもらい、
うさぎの健康診断と輸出検疫証明書のチェックをしてもらう、
というのが公の正しい手順だった・・・はずなのですが、
実際にはそこには誰もおらず。
通りかかったお兄さんをつかまえてうさぎと書類を見せたのですが、
彼は書類をまともに見ようともせず、「ふーん、うさぎ、いくらだった?」と。
「里子にもらった子なので、お金はかかっていませんが・・・」というと、
「じゃあ課税はされないから、行っていいよ」

え。ちょっとそんなんでいいんですか。
不備があったり、うさぎが病気を疑う状態だった場合には殺処分とか
強制送還とかいろいろなうわさがあったから、わたしお腹壊していたし、
ここでちゃんと手続きしてくれないと、あとでなにかあったら困るし。
でも、お兄さんは押し付けられた書類に一瞥をくれると返してよこし
「他にお酒とかたばことか持ってないなら、行っていいってば」

海は相変わらずわくわくした顔で見上げている。
迎えに来ていた車に乗って、夜にもかかわらずまだ明るいドイツの街へ。
蓋を開けると身を乗りだして、目をまん丸にして窓の外を眺める海。
どんな恐怖が待ち受けているのかあんなに心配した地球半周の旅は
何事もなくあまりにもあっさりと終わり、海、ドイツの新居へ。

翌日はさすがに疲れと時差ぼけから調子が悪く、
薬を飲ませたりマッサージをしたりしましたが、翌々日には復活。
飼い主の予想を裏切りすぎて別のうさぎを連れてきちゃったかと
思うくらいの変貌ぶりを見せる海。

それから約ひと月。
この家をすっかり我が家と思って、こんな↓毎日を送っています。
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うさぎと飛行機②

むかしわたしがうら若い乙女だった頃、病院で聞いた話。
耳鼻咽喉科にはよく飛行機で耳をやられた人が来る。
トンネルに入ったときのぼーっとした感じが着陸後もぬけない、
あるいは離着陸時の耳の激痛が消えない、など。
離着陸時の気圧の変化が耳に与える影響はけっこう大きいのだ。
 
検疫やドイツ入国、飛行機でのうさぎの扱いなどの情報は
集めるのに手間暇はかかるけど、いずれは集まる。
けれど一番知りたかったこと
離着陸時、それから上空でうさぎがどうなるのか、という情報は
どこをどう調べても皆無でした。
そもそも、うさぎを連れて海外へ行った人の数ってとても少ないし。

もし人間よりはるかに繊細な耳を持つうさぎが激痛に苦しんだら・・・
そうなってから「降ります!」というわけにはいかないじゃないですか!
離陸時の妙な圧力や轟音、浮遊感。地上ではありえないことばかり。
もしうさぎが恐怖のあまり体調を崩してしまったら・・・
気流の乱れによるジェットコースター級の急降下に心臓麻痺を起こしたら・・・
でもそんな情報はどこからも得られなかった。

さて、飛行機に乗ってとりあえず前の座席の下に入れられた海。
本当は膝に乗せて、安心するように声をかけてあげたかったけれど
透明な上蓋から目を丸くして一心にわたしを見上げている海に
大丈夫だよと伝わるように、チェシャ猫のような笑顔を見せる怪しい女。
エンジンの轟音が轟き、機体は上空へ。ひきつる笑顔。

そしてやっとシートベルト着用サインが消え、キャリーを膝に乗せて・・・
海、けろりんぱ。あれ?
好奇心でいっぱいの顔をして、撫でようと少し開けた蓋のすきまに
鼻をねじこんで無理やり出てこようとする元気。
隣の座席に落ち着いて、持参した新鮮にんじん葉やたんぽぽを差し出すと
大喜びでむしゃむしゃ食べる。もっと と催促する。
腸の動きがとまらないように、なにを食べてくれるかわからないから
ありとあらゆるものをかばんいっぱいに詰めこんできたのだけど
それらを海は片っ端からもりもり食べた。起きているときはずっと。
機内でお水をもらって作り直したアクアライト(粉末の りんご味)も
添乗員さんにもらったりんごジュースも大喜びでごくごく。

海って、知らないおうちに連れていくとナーバスでぴりぴりになり
●が小さくなり、食欲も落ちてしまう、とっても繊細で神経質なうさぎ。
その、わたしの知ってる海はどこに行ったの・・・というくらい
海は元気ではつらつとしていた。飼い主はぽかーんとするしかなく。あれー?

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↑あっちのほうも見たいよ
注:添乗員さんの目を盗んで撮影、見つかったら叱られると思います。

死ぬほど心配で胃や心臓を雑巾しぼりした飼い主、
海は飛行中ずっと元気で、覗き込む添乗員さんににこにこして見せたり
うとうとしたり、また目を覚ましておやつを催促したり。
乗り換えがあるのでけっきょく2回の離陸と着陸があったわけですが、
いずれもまったくけろりとしておりました・・・あれー?
飛行機というのは電車や車とちがって移動しているという感覚がないし
なにも知らない海にとっては、ただ飼い主と知らない人たちがたくさんいる
見慣れない変わった部屋に10時間滞在した、としか思ってないのかな。
自分がオーロラの見えるムーミンの国に向かっているなんて
知ることがあったらどんなにびっくりするだろう。

ヘルシンキ空港のムーミンショップのまえで記念撮影したかった!
海、フィンランドにいるよ!っていうすばらしい記念になったのに。
入国審査に時間がかかりすぎて、ショップのまえを走って通過するはめに(涙)

うさぎと飛行機①

むかしわたしがうら若い乙女だったころ友だちから聞いた話。
彼女の知人がフェレットを連れて飛行機に乗った。
キャリーの扉を開けたまま居眠りをしていた間にフェレットが脱走。
機内後部をうろうろしていたところを添乗員に発見され
フェレットは撲殺されてしまった・・・

イタチやげっ歯類は隙間から入りこんでコードなどを噛み切ってしまう恐れがあるため
機内を歩いているところを見つかったら即刻殺処分になる ということは
搭乗前に飼い主に説明があったはずなので これは完全に飼い主の過失。

そしてこういう人が複数いたためかどうか 現在ではほとんどの航空会社が
「犬猫のみサイズによっては手荷物扱い可 それ以外は貨物室へ」としている。
うさぎの負担を考えるとできれば直行便(ドイツまで約12時間弱)に乗りたい。
でもうさぎを客席に乗せてくれる直行便はない。
客席に比べると空調や気圧の管理に不安のある貨物室にはぜったい預けたくない。
折りしもドイツで貨物室に預けた犬が空調の故障で長時間低温下に置かれ
一命は取りとめたものの 賠償問題になったというニュースを聞いたばかり・・・
それでなくてもデリケートなうさぎを 長時間ひとりぼっちで
しかもそんな地上と異なる異常な空間に置いておくなんて!!

調べまくり 旅行会社にも問い合わせた結果 数ある乗り継ぎ便のなかで
フィンランド航空のみが うさぎの客席連れ込みを許可していることが判明。
(2013年4月現在)
ただ これだと乗り換え時間を含めて15時間の旅になってしまう。
かわいそうだな・・・でも貨物のほうがもっといやだ。

そんなわけで10時間かけてフィンランド・ヘルシンキ空港へ
そこから乗り換えて2時間半でドイツ・フランクフルト空港へ。
うさぎを乗せるという特殊なリクエストのため 
航空券を取るのに5000円の手数料が発生。
さらにうさぎ分の航空運賃(?)が100ユーロ。
当日のレートで 日本円で13600円をお支払い。
カウンターで 受付のきれいなお姉さんたちにもてもての海(笑)
ちなみに 連れ込める動物は人間1人に対して1匹のみです。

成田空港の手荷物検査では バッグはX線検査装置をくぐり 人間は金属探知機を
海の入ったキャリーだけは係のおじさんが自ら中身を確認。
ここで給水ボトルに少しだけ入っていたアクアライトを処分されてしまいました。
事前に植物防疫所に確認したところ ドイツはチモシーなどの牧草なら
持ち込みOK。植物には厳しいところも多くて 国によっては持ち込み禁止
あるいは事前に検査が必要なところもあるらしい。

うさぎ連れということで座席は(普通希望できるのですが)もう決まっていました。
一番奥、中央の3人がけの席。背もたれのすぐ後ろは壁 という場所。
しかも3席独り占め。ここはトイレも近いし 
セルフサービス飲み物コーナーも近かったのでとても助かりました。
自分の席がきゅうきゅうだったらしいツアー参加のおじさんが
ここに座ってもいい?と言って移動してきましたが 動物好きなとてもよい人。
キャリーは前の座席の下に入れ 飛行中は決してキャリーの蓋を開けてはいけない と
聞いていたのですが・・・実際には添乗員さんたちはみんなとても優しく
日本で言われていたほど厳しくもなく・・・離着陸時以外は海は座席に載って
キャリーのすきまから顔を出してにんじん葉をもりもり食べては
スチュワーデスさんたちに「かわいいー!!!」と叫ばれていたのでした。

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↑ここはどこなんだろう・・・

うさぎと検疫

検疫を受けるにあたって必要なもの。
●輸出検査申請書
●検疫前10日以内に発行された健康診断書

このふたつを事前に郵送あるいはFaxで提出します。

健康診断書に必要な情報。
●うさぎの情報(種類、名前、性別、年齢、毛色など)
●飼い主の情報(住所、氏名、電話番号)
●病院の情報(住所、電話番号、HPアドレスなど)
●日付
●担当獣医師の署名

検疫所では
●野兎病
●うさぎウィルス性出血熱
●うさぎ粘液腫
などの伝染病の有無をチェックします。

健康診断書は行き先によっては指定の書式があるようです。
ドイツは 必要事項の記入さえあればどんなのでもいい ということでした。

わたしたちは今回成田空港第二ターミナルから出発したのですが
こちらの検疫所には二種類あって ひとつは飼い主が動物の世話をするタイプ。
空港施設内の検疫所になります。
もうひとつは有料で業者に世話を依頼するタイプ。
こちらは空港施設外。
空港内の検疫所が満室だった場合は 、否応なくこちらに入所になることも。
ただ 実際にはうさぎの入所は滅多にないとのことでしたが。

動物検疫所 http://www.maff.go.jp/aqs/

検疫所にはとても恐ろしいイメージを持っていました。
なんだか物あつかいされそうな・・・他の動物たちと一緒につめこまれるような・・・
でも実際には職員さんたちはとても優しく感じがよく、
不安からあれこれ電話で質問しても いつも快く詳しく答えてくれました。
そして うさぎは犬や猫と同室だとストレスになってしまうので、
小動物専用の個室が用意されているとのこと。ほっとしました。

検疫所は17時まで。前々日の16時まえには入るように事前に指示が。
こちらで入所まえに獣医師による軽い健康チェックがあります。
聴診器と簡単な短い触診だけでした。

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外出が苦手で移動中は一切の飲食をせず 着いた先ではナーバスになってしまう海。
獣医さんのアドバイスで事前に食欲増進剤の入ったプリンペランを飲ませていたのが効いたらしく、
この静かな部屋で持参した牧草やご飯をもりもり食べてくれました♪
そして翌日は丸一日滞在 そのさらに翌日が出発で 8時半からの検疫所にお迎えに行きます。

検疫中はなにをされるの!?と不安のあまりお腹を壊していた飼い主ですが、
心配していた注射や血液検査やレントゲンなどは一切なし。
基本的に うさぎをケージから出すことはなく ただ観察するだけとのこと。
人間はいつでも出入りできるのですが いつ行っても海の部屋は静かで誰もおらず
他の部屋から犬猫の鳴き声が聞こえることもなく 快適に過ごせたようです。
ただ どういうわけかわたしがいないときは12時間以上でもおしっこをしてくれませんでしたが・・

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↑意外とリラックス・・・

ケージもある程度の広さがあるし清潔。
ケージ以外の備品はすべて飼い主が用意することになります。
ご飯のお皿、給水ボトル、それに入れるお水、ご飯、牧草、ペットシーツ。
ケージの床は金網なので 足裏の弱い海のためにバスマットを敷き、
そのうえにペットシーツを広げました。
それから 数日まえから身につけていた飼い主のにおいのついたタオルを。
出発の日にはもう一度獣医さんに触診してもらい
輸出検疫証明書という日本語と英語で書かれた書類をもらい、
キャリーにこのタグ↓をつけてもらいます。
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知らない場所にひとりで2泊した海。
ぴょんさんがいたので 家のなかでの海はどうしても「弟」「末っ子」。
神経質ですぐに眉間に皺をよせ お腹を壊してしまうお子ちゃまな海。
その海がとても立派に検疫を終え キャリーに入ってなにやら晴れ晴れした顔で
透明な上蓋からわたしを見上げてきます。
これで帰れると思ってるのかな・・・これから飛行機だよ・・・
バックヤード6Fにある検疫所にお別れして 出発ロビーに向かいます。

うさぎと海外

夫がドイツ人なので以前にもドイツで暮らしていたことはあって
初めてのうさぎを飼ったのもドイツでした。
今回約7年の日本暮らしを終えて再びドイツへお引越し。
それが決まったのは年末のこと。

うさぎと海外。

かなり悩みました。
当時は8歳という高齢の女の子ぴょんさんも一緒の予定だったので
長時間の飛行は辛いんじゃないか 虐待に近いんじゃないか
もし飛行中に気圧の変化の影響でなにかトラブルが起きたら・・・
まだ5歳だけどビビリで神経質で移動中は一切の飲食をしない海が
上空で体調を崩してしまったら 獣医さんなんていないし・・・
考えるだけで胃がよじれ 腸が移動したりして。
恐ろしい事実が判明するたびに やっぱり行くのやめよう と思ったり。

恐ろしい事実↓
1、うさぎは検疫所に2泊預けなくてはならない→やっぱりやめよう
2、うさぎを客席に連れ込める直行便はない→行くの数年延期しよう
3、狂犬病予防接種とマイクロチップ装着→やっぱり離婚しよう

3つのうち 3は犬猫その他のみに必須とされ 
うさぎには関係ないことが判明したため離婚は回避。
ドイツ・フランクフルト空港税関に確認して
「では うさぎは検疫所発行の健康証明書だけあればいいんですね?」と訊いたら
「うーん・・・それもいるのかなぁ・・・?」などと言われ
そして事実税関ではその仰々しい証明書は一瞥しかされなかったという・・・

飼い主がいろいろ調べて一喜一憂しては体重を増減させていたある日
ぴょんさんが腎不全にて行き先をお月さまに変更。
ぴょんさんのことが大好きだった(けどぴょんさんには嫌われていた)海は
空になったケージのまえにぽっちり座っていることが多く
普通に食べていたのに体重が1.55から1.42に落ちてしまった。

ぴょんさん キャリーに入らなくていいから一緒に行こう
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うさぎと海外。
「別に大丈夫でしょ、長時間だけどねー」という人も
「置いていく っていう選択肢もあるよ」という人も。
置いていく はないのです。
海をお迎えしたときに 少なくとも2回飼い主の代わっている海に
これからはずっと一緒だからね と約束したのだから。
一緒に行く か 一緒に残る か。

一緒に行く に賭けてみることにしました。


航空会社指定の30×35×25サイズをクリアしたこのキャリーに入って
出発です!
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