首がのびるほど楽しみに待ちわびていた


まだ先のことと思っていた母の来独日がきたかと思ったら
あっという間に2週間の滞在を終えて帰っていき、
たのしかった日々をじゅうぶん反芻する間もなくふと気づけば
空港で見送ったあの日からもう2週間になります。
さっき10月になったと思ってたのに、すでに10月のお給料が口座に。
10月ももう終わりです。
旅行中おやすみしていた聖歌隊の練習、やすんだのは2回だけなのですが、
行ったらあたらしい曲が4曲も増えていました。
しかも1曲は8ページある曲で、すでに4ページめまで進んでいました。
楽譜お持ち帰りで次回までに予習復習しておこう、と思っていたのに、
なにもしないまま今夜はまた練習の日です。
人生って、こんなふうに終わっていくんですね。
ときが流れるのはほんとうにはやい。
ちいさな子どもの成長ってはやいな、と思うことがよくありますが、
おじいちゃんの変化のスピードもかなりのはやさです。
おじいちゃんは家のなかで帽子をかぶりダウンジャケットを着て、
下はパンツ一丁で歩いていました。
数か月まえにもそういうことがあったんです。
でもそのときは指摘したらもう慌てふためいて「これは失礼しました」と狼狽し
大急ぎで自室にもどっていったんです。
ところが最近は「はあ、それがどうしかしましたか」という反応。
羞恥心をなくしたのか、
下着で人前にでることはマナー違反であるという常識を忘れたのか。
そして先日はついに全裸デビュー。
キッチンでるり子とおしゃべりしていたとき、扉のむこうから
おじいちゃんが歩きまわったり階段をおりたりのぼったりしてる音が
ずっとしていたんです。その足音が近づいてきたと思ったら扉がさっと開かれ、
「やあやあ、おはよう!おそろいですね!」とハイテンションな声が響き、
見るとそこには素っ裸のおじいちゃんが、タオルで前だけ隠して立っていました。
ショックでなにも言えない(らしい)るり子に代わってわたしが下を見ないようにして
そんな恰好じゃ風邪をひくから上に行って服を着てきてね、と言うと、
おじいちゃんは「そのとおりだ!」と大声をだして出ていきました。
おじいちゃんはときどき元気溌剌、テンションの高い人になるのですが、
そういうときにむしろ常軌を逸した行動をとるのです。
るり子は黙りこんで、窓のそとを見ています。
おじいちゃんは自室にたどりつくころにはたいてい、
なにをするべきだったか忘れてしまうので、
いつもはるり子がいっしょにあがっていって介助するのですが
このときは動こうとしませんでした。
わたしは食事のしたくやゲームや塗り絵の相手をするけれど
身体的な手助けはしなくていいことになっているので、
でもこのときはるり子が固まっているのでどうしようかと思ったのですが、
やっぱりそこまでするのは抵抗があるので部屋に引っ込みました。
15分後、ふたたびおじいちゃんが下におりていく足音が聞こえ・・案の定。
服を着てこいって言ったでしょーーー!!!!
とるり子の怒鳴る声が響きました。
ところで、9月後半のおじいちゃん1週間ショートステイですが。
そのあいだ、るり子がバス旅行に出かけて留守だったことはブログに書きました。
ところが、るり子がおじいちゃんにもつに入れわすれたものが数点あったので、
頼まれて一度とどけにいったんです。
滞在2日目でした。
おじいちゃんはわたしの訪問を喜んで紳士的にお礼を言い、
持っていったわすれもの+ピールを嬉しそうにうけとりました。
ここは病院で自分は入院しているのだと思っていたようですが
(訂正しませんでした。本人にとって介護施設とどっちがましとも思えないから)
おちついて、くつろいでいたように見えました。
↓さっそく乾杯


↓たしかに病院とほとんどなにも違わない・・

↓自分の部屋がわかるように

↑名札のしたにはいろんな動物さんのお写真が
ところが、夜になるとるり子邸の電話が何度も鳴るんです。
ある晩などはほとんど5分おき。留守電メッセージ着信ランプは点滅。
これが実はおじいちゃんからで、留守電には何十件もメッセージが入っていたそう。
わたしが以前働いていた施設では、認知症の人には電話はわたしませんでしたが・・
そしてある日ひとりで外に出て帰れなくなってしまい警察のお世話に。
連絡をうけた娘の恵子が引きとって施設に連れかえりましたが、
施設ではそもそもおじいちゃんがいないことに気づいていなかったそうです

4泊5日のバス旅行から帰ってきたるり子は、
おじいちゃんの滞在を延長、けっきょくぜんぶで12日間の滞在になりました。
もっと延長したかったけど空きがなかったみたいです。
そんなわけで、はなこ母が到着したとき、おじいちゃんはいませんでした。
↓おまけ

↑はなこ母とハイデルベルクで食べたうす焼きピザ

大~きいけどうすくてパリパリしていて軽いので、けっこう食べられちゃう。
これはサラミとたまねぎとチーズでした。